記録で見る大気汚染と裁判

西淀川大気汚染公害裁判

学校内調査資料

西淀川中学校      画像クリックで資料が読めます

地域で最初に調査を始めたのは西淀中学校でした。調査結果は新聞で報道され、他の学校でも調査をスタートさせるきっかけとなりました。

植物標本イチョウと金属片のアルバム

大阪市立西淀中学校では、1968年から1970年にかけて、大気汚染公害が植物の生育に与える影響について、調べ学習を行いました。イチョウの葉の状態を、西淀川と、大阪市・大阪府内の各地で比較するというものです。西淀中学校と、大阪府北部の山間部である能勢を比べると、その違いがはっきり分かります。西淀中学校のイチョウの葉は、赤茶色に変色してしまっています。
生徒たち自身が、身近な植物を題材に、大気汚染公害による環境や健康の異変を明らかにするための調査に取り組んでいたことが分かる資料です。
イチョウの葉の状態の比較
西淀中学校のイチョウの葉

公害調査のあゆみ(1年次)

大阪市立西淀中学校の教職員のあいだには、公害が生徒たちの健康をむしばんでいるのではないかという心配が広がっていました。そこで、中学校独自で調査を行うことにしました。この報告書は、1967年9月から翌年3月にかけて実施された調査結果をまとめたものです。
調査では、身長と公害の関連性調査(全学年)、扁桃腺肥大調査(1年生・3年生)が行われ、結果として、身長と公害に関連性はなく、扁桃腺は男子に影響があり、大阪市のなかでも高率でした。また、学校環境と公害に対する意識調査(1年生)、教職員に対する意識調査も行われ、生徒の42.2%が就寝前の咳や喉の痛みを訴えており、教職員からは、喉の痛み、声が出にくい、シャツやブラウスが一日で汚れる、押しピンが2週間で赤く錆びる、工場の騒音で体育館が振動する、木の生育が悪いなどの回答が寄せられました。
この調査は新聞で取り上げられ、西淀川公害の実態を広く知らせることになりました。学校教育の現場が、生徒たちを公害から守りたいという一心で、手探りの調査を行ったことが分かる資料です。
公害調査のあゆみ1年次

公害調査のあゆみ(3年次)

大阪市立西淀中学校では、1971年、中学校独自で3回目の調査を行うことにしました。この報告書は、その結果をまとめたものです。
調査項目は、大気汚染と紫外線の関係、骨折状況、生徒の平均身長、肺機能と体力の関連性、扁桃腺肥大調査、騒音の状況、植物の生育状況と、多岐にわたっています。結果として、紫外線量が非汚染地域より平均して少ないこと、骨折が多いこと、身長が市の平均より下回ること、肺機能に地域差の影響が認められること、扁桃腺肥大者が全市と比較して7~9倍いること、校内の騒音が学校基準法を大きく超えていること、植物の生育が他地域よりも悪いことなどが明らかになっています。また、公害反対を訴える生徒の作文や、「私たちと公害」をテーマにした文化祭の展示の内容が紹介されています。
教職員と生徒が共に、公害対策と住みよい環境を求める意識を高めていたことが分かる資料です。
公害調査のあゆみ3年次

校内学習用資料

大阪市立西淀中学校では、公害について学ぶための資料を、四つ切り画用紙に手書きで作成しました。当時の公害学習のようすを伝える資料です。

◆『耳鼻科検診より』(年未詳)

大阪市立歌島小学校の、耳鼻科検診の結果を表にしたもの。耳垢、慢性鼻炎、蓄膿症、慢性咽頭炎、扁桃腺肥大、中耳炎などの、学年別罹患者数集計。多くの児童がさまざまな症状に悩まされていたことが分かります。
耳鼻科検診より

◆『ばいじんと亜硫酸ガスの相乗効果』(年未詳)

煤塵と亜硫酸ガスの相乗効果による気道抵抗増加率を示したグラフ。煤塵では増加率は約10%、亜硫酸ガスでは約15%ですが、煤塵と亜硫酸ガスが相乗すると約40%となることが示されています。
ばいじんと亜硫酸ガスの相乗効果

◆『甘い国、県の規制ときびしい市条例の規制』1972(昭和47)年頃

神奈川県川崎市を例に、市内亜硫酸ガス年間総排出量について、現在の排出量、国の基準による排出可能量、県条例による排出可能量、市条例が改訂される前の排出可能量、改訂後の市条例の排出可能量を比較したもの。棒グラフが煙突に似せて描かれています。また、厳しくなった市条例の基準が、「川崎から公害をなくす会」の対市交渉によって実現したことが説明されています。
甘い国、県の規制ときびしい市条例の規制

◆『光化学スモッグ発生状況』1973(昭和48)年頃

大阪市立姫島小学校における1972・1973年度の光化学スモッグ予報/注意報の発生日・時間を一覧にしたもの。
光化学スモッグ発生状況

◆『公害に強い木弱い木』(年未詳) 

強い木・やや強い木・やや弱い木・弱い木・非常に弱い木の分類表。大気汚染公害による植物への影響を調べています。
公害に強い木弱い木

資料 公害と健康

1973年、大阪市立西淀中学校では、西淀川区や大阪市・大阪府域、全国の公害病データの図、グラフ、表を整理した資料を作成しました。
資料には、1973年3月31日現在の公害認定患者統計/公害患者年齢別統計/公害患者病名別統計/公害指定都市公害病認定状況、1965年度~1972年度の硫黄酸化物濃度経年変化、1965年度~1973年度の硫黄酸化物・窒素酸化物濃度と認定患者数の月別変化、西淀川・東住吉・福島・大正・此花地区の慢性気管支炎有症率、大阪府における1981年度までの自動車保有台数の推計、1971年6月1日現在の西淀川区全保育所幼児のアンケートによる健康調査集計、西淀川区利用地別区分図及び高速道路建設計画、日本全国の公害をイラストマップにした「むしばまれる日本列島」が掲載されています。
教職員たちが、西淀川だけではなく、日本全国の公害に目を向けながら学校や地域の環境を考え、生徒たちの健やかな学校生活を願っていたことが分かる資料です。
資料 公害と健康
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