記録で見る大気汚染と裁判
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西淀川大気汚染公害裁判

■公害の原因

大阪の中心部に近い西淀川区は、都市に住む人々の食べ物をつくる農業、漁業の町として栄えました。産業革命以降、阪神工業地域の一地域として工場が建設されます。大阪と神戸をつなぐ場所に位置するため、大きな道路も数多く建設されました。特に大気汚染はひどく、地形的に大阪湾の一番奥に位置しているために尼崎と此花・堺の大工場の煙が西淀川に集まります。また、道路を通過する大型ディーゼル車の排気ガスも多く、工場の煙が混じりあい複合大気汚染となりました。 これまでで西淀川区だけで累計7000人を超える人が公害病に認定されています。

■裁判の内容

西淀川区の大気汚染がひどいことはみんなが知っていましたが、隣の尼崎市や此花区からの「もらい公害」であり、コンビナートでないために工場の共同責任を問うのは困難であり、裁判で住民が勝つのは難しいという意見が弁護士の中では一般的でした。
しかし、公害改善と患者の窮地を救うために西淀川の公害患者は裁判を望み、弁護士会に働きかけて「勝てるはずがない」裁判に踏み切りました。弁護士の多くは弁護士登録前の研修で西淀川公害の苦しみを見て、なんとか力になりたいと裁判に関わった若手弁護士でした。
争点は西淀川で汚染物質を環境基準以下にすることと、公害患者の損害賠償でした。
726名という大人数で提訴し、患者が病気と生活の苦しさを訴えて100万人署名を集め、世論を味方につけました。また、「公害被害者による西淀川再生プラン」を描き、地域再生を訴えました。
その結果、20年間かかった裁判では国と企業に勝訴をし、公害地域再生という新しいステージを切り開いたのです。
娘をかえせとさけぶ母親
娘をかえせとさけぶ母親
西淀川大気汚染公害裁判原告団
西淀川大気汚染公害裁判原告団

<原告>

大阪市西淀川区に在住または通勤している、公害健康被害補償法による公害病認定患者

訴訟名 提訴年月日 原告数
1次訴訟 1978年4月20日 112人
2次訴訟 1984年7月7日 470人
3次訴訟 1985年5月5日 143人
4次訴訟 1992年4月30日 1人
合計 726人

<被告>

工場
企業10社 関西電力、大阪ガス、住友金属、神戸製鋼、中山鋼業、旭硝子、日本硝子、関西熱化学、古河機械金属、 合同製鐵
道路
国、阪神高速道路公団

<判決・和解>

1991年3月29日 判決(1次訴訟)
⇒原告・被告ともに控訴(大阪高裁)
工場
企業の不法行為を認める。
連帯して損害賠償を支払う
道路
責任を問われるのを免れる
1995年3月2日 企業と和解
・企業は解決金39億9千万円を支払い、そのうち15億円を患者の生活環境や地域再生に活用する
・企業は公害防止対策を努力する
1998年7月5日 判決(2~4次訴訟)
道路
自動車排ガスの健康影響を求める
1998年7月29日 国・阪神高速道路公団と和解
・西淀川区における沿道環境改善(交差点改良・国道43号線車線削減、光触媒塗布、微細粒子状物質PM2.5の測定実施など)
・環境施策を実施するために西淀川地区道路沿道環境に関する連絡会(連絡会)を設置し、被害者(原告団)と国・公団は継続的に協議をする
記録をみてみよう

■西淀川公害を知る

写真館

50年前の大阪の空は灰色だった!!通天閣がスモッグで見えない!?

パンフレット・報告書

住民が作った公害のパンフレットと調査報告書です

被害者の苦しみ

24歳の時、公害によるぜん息で亡くなった南竹照代さんの一生

年表

全国と西淀川公害の流れがわかる年表です
患者会の機関誌と総会議案書、裁判のニュースが読めます

■住民による公害解決方法

学校での取り組み

西淀川の公害反対運動を支えたのは学校です
学校の独自調査、サマーキャンプの取り組みなどの記録が読めます
大気汚染で不自然に枯れたイチョウの写真もあります

住民の大気汚染調査

カプセル測定で住民が大気汚染物質NOを測定します
大阪全域と西淀川区域の大気汚染がわかります

患者会の活動

西淀川公害患者と家族の会は裁判の原告となりました
患者会の公害をなくすための取り組みがわかります

運動を支えた新聞スクラップ

インターネットのない時代はどうやって情報を集めていたのかな?
運動を支えた新聞スクラップを紹介します

裁判

20年間たたかった裁判の記録が見られます
企業・国・公害患者の主張の違いがわかります

小学校での授業

■資料公開基準

 資料公開基準

■現地で学ぶには

施設名 あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ) あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)
写真は西淀川・公害と環境資料館より
URL http://www.aozora.jpn.org/ecomuse/
e-mail webmaster@aozora.or.jp
利用案内 開館日 月および金曜日
時 間 10:00-17:00
事前に電話予約が必要です
住所 〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1丁目1番1号あおぞらビル4階
電話 06-6475-8885
FAX 06-6478-5885
施設の説明 西淀川大気汚染訴訟の和解金の一部を基金として街づくり組織である財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)が作られました。発足以来、「西淀川地域資料室」を開設し、西淀川公害訴訟弁護団や西淀川公害患者 と家族の会が所蔵している資料など、公害の経験を伝える貴重な資料類の公開・活用に向けた準備作業を続け、平成11(1999)年には利用者への情報提供を開始しました。また、全国の公害・環境問題資料の保存・活用のためのネットワーク形成などにも取り組み、平成18(2006)年3月、「西淀川・公害と環境資料館」として新たにスタートしました。
出張授業、フィールドワークの受け入れも行っています。
所蔵資料 大阪・西淀川大気汚染公害に関する記録資料を中心に、公害・環境問題や西淀川地域に関する一次資料・図書などを収集・整理・保存 しています。
展示・資料閲覧・複写・図書やビデオライブラリーの貸出を行っています。