記録で見る大気汚染と裁判
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倉敷公害訴訟

■公害の原因

水島地域は中世までは瀬戸内海の島でしたが、江戸時代の干拓で島と島がつながりました。また、大正時代に東高梁川が埋め立てられて、現在の水島地域ができます。広大な干潟と、ハマグリやクルマエビが取れる漁場にめぐまれ、海水浴場もあった白砂青松の浜辺、田園風景が広がる農漁村でした。
第二次世界大戦中に三菱重工業の名古屋航空機製作所岡山工場がつくられ、水島地域の工業化が始まりました。戦後は水島コンビナート建設が始まり、1961年に本格的に操業開始します。四日市についで2番目の石油化学コンビナートで、石油化学工場と製鉄所などがつくられました。
1961年には沖合の魚が油臭くなり、1963年ごろには、梅、スイカ、ゴマの実がつかなくなり、イ草の先が茶色になって枯れだしました。1964年には水島市街地まで玉ねぎの腐ったような悪臭がただよい、1965年ごろには住民にぜん息などの健康被害が見られるようになりました。

■裁判の内容

倉敷市は1972年に倉敷市条例(特定気道疾病医療費給付条例)を制定し、患者の救済を行ってきました。1975年12月には水島を中心とした地域が国の公害健康被害補償法に地域指定されますが、市の条例よりも狭い地域となりました。1978年から汚染物質の一つである窒素酸化物の環境基準がゆるくなったことで、公害行政もゆるくなり、1982年には市条例が廃止されます。
このままではいけないと、1983年11月9日公害健康被害補償法による公害認定患者が水島コンビナートの企業を裁判で訴えます。二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質の環境基準を達成すること、それ以上の排出をしてはならないという差し止め、公害患者と死亡者に対して生活・家庭の破壊を償うための損害金を支払ってほしいという裁判です。
1994年3月23日に判決が出されました。3物質を汚染物質として認め、損害賠償を公害患者に支払うようにと企業に命じました。差し止めはできませんでした。
その後、企業は控訴しましたが、西淀川と川崎の裁判で企業と和解が進む流れの中、倉敷では1996年12月26日に企業と原告は和解をしました。13億9千2百万円の和解金が企業から支払われ、公害患者はみずしま財団(財団法人水島地域環境再生財団)をつくり、まちづくり活動を行っています。
倉敷公害訴訟和解確認式
倉敷公害訴訟和解確認式
1996年12月26日
鴨が辻山から臨む水島コンビナート
鴨が辻山から臨む水島コンビナート

写真はみずしま財団より

<原告>

倉敷市に在住または通勤している公害健康被害補償法による公害病認定患者

訴訟名 提訴年月日 原告数
1次訴訟 1983年11月9日 61人
2次訴訟 1986年11月7日 123人
3次訴訟 1988年11月7日 108人
合計 292人

<被告>

工場
企業8社 川崎製鉄、中国電力、三菱化成、岡山化成、水島共同火力、旭化成、三菱石油、日本鉱業

<判決・和解>

1994年3月23日 1次地裁判決
工場
公害の責任を認める
→原告・被告ともに控訴(岡山高裁)
1996年12月26日 工場との和解
・解決金として13億9千2百万円を原告に支払う。
(和解金の一部を環境保健、地域の生活環境の改善などの実現に使用できるものとする。)
・企業は公害防止対策に努力する。
記録をみてみよう

■倉敷公害を知る

写真館

倉敷市水島地区の公害の反対運動に立ち上がった人々の写真です。

映像

病状や苦しみを理解してもらうために、患者さんが作製したビデオです。

行政の取り組み

公害に対して、行政はどのような対応をしたのでしょうか? 環境の測定や汚染の規制を行った倉敷市の報告書です。

年表

全国と倉敷公害の流れがわかる年表です
患者会の総会議案書、ニュースレターが読めます

■住民による公害解決方法

患者会の活動

倉敷市公害患者と家族の会は裁判の原告となりました。患者会の公害をなくすための取り組みがわかります。

学校と病院での取り組み

小中学生の公害病患者を救済するために、地元の病院は特別な入院施設を作ったり、夏休みの転地療養などに取り組みました。

裁判

水島コンビナートの様子や、被害の実態、
企業と公害患者の主張の違いがわかります

報告書

被害の実態や住民運動の歴史がわかります。

小学校での授業企画展
エコツアー

■資料公開基準

 資料公開基準

■現地で学ぶには

施設名 みずしま財団(公益財団法人 水島地域環境再生財団) みずしま財団(財団法人 水島地域環境再生財団)
URL http://www.mizushima-f.or.jp/
e-mail webmaster@mizushima-f.or.jp
利用案内 対応可能日 月~金曜日
時 間 9:00-17:00
事前に電話予約が必要です。086-440-0121
住所 〒712-8034 岡山県倉敷市水島西栄町13-2
電話 086-440-0121
FAX 086-446-4620
施設の説明 みずしま財団は、倉敷公害訴訟の和解金を元に設立したまちづくり組織です。住民を主体に、行政・企業など水島地域の様々な関係者と専門家が協働する拠点として、よりよい生活環境を創造する活動を展開していくために、調査活動をはじめ、学びの場づくり、人とのつながりづくり、そして公害の経験の継承と公害患者支援などを行っています。
所蔵資料 公害ビデオの製作や写真集出版、出張授業、見学受け入れ、八間川や海をフィールドとした環境教育などを展開しています。
原告団が持っていた裁判資料を所蔵しています。そのほかにも倉敷公害患者と家族の会の資料、冊子などを見ることができます。